マルチプラットフォーム理論

野村総研の発表

接触のICを利用した電子決済市場が電子マネーや、携帯電話をかざして決済するおサイフケータイを合わせた非接触IC決済市場は、2007年度に前年度比3.8倍の6800億円になる見通しとのこと

 普及の最大の要因はおサイフケータイの普及台数が増えたこともあるが実は「使える場所の数」すなわち

リーダライターの設置台数が飛躍的に伸びているからだと思う

 

当初はEDYSuicaが利用できるといっても2万店程度であったが 徐々にローソンやファミリーマートサークルkサンクス

マツキヨ ampmなどコンビニを中心とした若者が週に一回以上行くであろう企業とNTTドコモのアライアンスが行われたこと

によって利用場所が拡大した

さらにドコモが三井住友カードに資本参加したことによって一気にそれまであまり積極的ではなかった大手カード会社が一斉に動き始めたことが勝因だと考えている

また店舗も手数料をカード会社やビットワレットJR東日本などに支払ってでも導入を決断したのは、ケータイが常に持ち歩かれるツールであり、単なる会員証や会員カードよりもインタラクティブにメールやサイトと連動した「究極のマーケティングツール」で

あることに気がついてくれたからであろう

imodeもおサイフケータイもインフラビジネスあるいはプラットフォームビジネスといわれるものに分類されると考えているが

Yahoo!などのポータル事業やプレイステーションなどもこの範疇に入る

近年マルチサイドプラットフォーム理論なる経営戦略論が再び脚光を浴びている

このビジネスモデルが成功する要因は80年代の日本企業が成功した方法とは全く異なるものと考えるがなかなか

それが理解されていないような気がする

いわゆる垂直統合戦略ではなくプラットフォームを提供しプレイヤーを増やしユーザーを増やしていく夏野剛氏が

いうWINWIN戦略が有効である

具体的にいえばアップルがipodで成功したのはコンテンツを「押さえたから」では無い

Sonyは大金を叩いて映画会社などコンテンツを押さえにいったが音楽のダウンロードプラットフォーム

ではアップルに惨敗している

アップルは逆にコンテンツホルダーと協調するとともにユーザーに99セントという価格で音楽を提供した

imodeが成功し欧州のWapが大失敗したのはまさに良い例である

往々にしてコンテンツを押さえると成功すると勘違いされているがそれはコンテンツビジネスの範疇の戦略であって

プラットフォームビジネスでは成功する可能性は極めて低くなる

なぜか?

ユーザーの視点に立てば明白である

つまりどんなに金を使ってコンテンツを集めても(購入しても)膨大なコストがかかるだけであって広告

収入では到底まかなえないことを理解できない企業が多い

プラットフォームビジネスの本質がわかっていないのであろう

ユーザーは色々なコンテンツを見たいと思うものであって例えばDisneyだけを見ても満足しないのである

ディズニー好きな人はコンテンツとしてのディズニーは好むであろうからそれ自体はアイズナー元会長の

言う「Contents is King」の格言は正しい

しかしながらプラットフォーム事業ではそれはビジネスとしてなりえない

ただ注意しなければいけないことはただプラットフォームを作っても何も起きないということだ

よいコンテンツがたくさん集まり 多くのユーザーが集まることによってさらに良いコンテンツが大量に

集まるというポシティブフィードバックが始まらないことにはプラットフォームは成長しない

おサイフケータイも単にインフラができただけでは永続しえないであろう

そのためにも横並び意識が高くならに「村社会」のクレジットカード会社や大手金融機関が

参加した意義は非常に大きい

住友という銀行 あるいは当時の西川頭取という人物の先見性には頭が下がる思いである

経営者としての才覚とはこういう先見の明を持ちそれを実際にアクションにできる統制力

にあると実感している

金融機関全般あるいは大企業全般にいれることだが「リスクをとらないサラリーマン精神」では

日本は世界に決して勝つことはできないであろう

まだまだこれからの「おサイフケータイ」だがMastermindの私としては五年後にはとてつもないインフラとなって

「使うのが当たり前」となるよう「ライフスタイル」が変化することを切望している

凡人には理解できないのですよ とある会社の社長は私に言ったが 凡人が利用するものを凡人が

考えてきたのだから必ず普及すると信じている

世界が注目する数少ない日本のお家芸になる日が早くくるよう微力ながら貢献したい