新規事業 M&Aの成功の秘訣

新規事業を成功させる秘訣は?というご質問を受けることが多いです




しかしこの質問は実は非常に曖昧な質問であってそもそも新規事業って何だ??というところに

行き着く気がします




全く違う業界でズブの素人が行うことを新規事業というのであればまさしくベンチャーのような

千三つの世界であり、究極的には ヒト としか答えられない気がしています




決してあきらめないで這い上がるような強い意志を持った人物 そして技術力 アイデア 特許 市場 アライアンスなどなどケースバイケースとなってしまいます




ただほとんどの企業が行う新規事業はなんらかの形で現在のビジネスの派生であることが多いと思います

その場合には 結論から言えば

?リスクを取ることのできるキャッシュフローがあること、

?社内の抵抗勢力を如何に抑えるか?

?アライアンスの正しい組み方ができるか?

だと思っています




先般米国有力投資銀行のマネージングディレクターの方がわざわざお越しいただいてお話をした際にGOOGLEとYAHOOのM&Aの戦略の違いについて興味深いお話をされていました




一言でいえば GOOGLEは高い技術力をもっておりメキキが瞬時にできる かつ 経営の意思決定スピードが上3人で決めているので極めて早い かつ 事業領域を絞っているのに対して YAHOOは どちらかというと総花的にビジネスを展開しており M&Aの場合に かならずどの部署が責任を持つか? という内部の調整に手間取っていること、 技術メキキはそれほど高くなくどちらかというとサービスオリエンテッドな考え方をしていることなどから 迅速な意思決定がやや出来にくい(それでも早いほうでしょうが) という大きな違いがあるということでした




元にもどって新規事業を行おうとされている企業に対して私がオススメしているのは

?現在のビジネスの持つコアコンピタンシーの再確認

?現在のビジネスの有するバリューチェーンの中で関連する全てのプレーヤー

?当該新規ビジネスが産み出す新たな価値(コストダウンや他社への競争優位)

等を整理されることです(まぁ当たり前ですが)




その上で全て自前でやるのか 他社とのアライアンスをするのか を見極めます

多くの場合には ノウハウや人材、時間的制約を考慮すると他社と何らかのアライアンスをする必要があります

自前主義は 今の経営環境においてよほどの人材と資金が無い限り成功する可能性は低いと思います




でアライアンスの際の最も重要な3原則(勝手に決めました^^)は私は以下のとおりと考えています




?ヒト アライアンス先の企業を本当に動かすことができる人物にあたっているかどうか?

    多くのケースで適切でない部署の適切でない人物と交渉しているために

    進まなくなっているものがあります 大企業の場合には特に注意が必要です

    ただこれはトップダウンでいくべきということではないです 寧ろ逆かもしれません

    社長案件や頭取案件ほどうまく行かないケースも多いのです これはトップの技量にもより  

    ますが相手企業の現場がキチンと動かせるかどうか?が重要です




?やる気 これも?と密接なのですが 相手企業にやる気が無い場合やその余裕(資金のみな 

     らず経営環境など)がない場合には ムダな交渉に終わることが多く時間のムダです

    交渉をして3ヶ月で動きが出ない場合にはとりあえず一旦様子を見る方がよいでしょう

    そのためどこの企業から交渉していくか? というプライオリティを必ずつけてからあたっていくことが肝要です ダメなら次にいきましょう ただ当然仁義は切ることを忘れてはなりません

    ビジネスにおいて信用は何よりも大切ですしその他のケースでまた関係が出てくる可能性は非常に多いからです




?資金  ?のやる気とも関連しますが 新規事業を行う場合には相手企業にも相応の負担が

    発生します ヒトの場合もありますしその企業の資産やプロモーションのコスト さらに

    もっとも多いのは出資などの際には資金です  特にB to Cの場合にはプロモーションが重要になります




では上記のような条件を満たした企業とのアライアンスをする場合にどのような形があり得るでしょうか




?契約による業務提携のみ

?出資を伴う業務提携 この場合さらに

a)マイナー出資 b) 持分法適用出資 c)連結対象出資(買収) に分かれます

? ?の変形で JVというものも多く検討させますが実はこれが一番成功確率が低いと思っています




理由はヒトを本当に確保できるどうか?両方の出資元企業が本気で支援していくか?にかかってくるからです

最近はJVへの出向が人材の教育になるということで優秀なヒトが送られるケースが増えてきているので状況は変わってきていますがJV作ったら終わり のような悲惨なケースも過去にはありました




ここでもう一度最初に戻って

当該新規事業を行う際にどこまで必要なのか?

出資による効果は?

プライシングは? という案の比較考量がなされます




企業によってはハードルレート(IRR)という基準があり それ以上の収益が見込めたら投資を行うというものを設定しているケースが多いでしょう




ここで最大のリスクが登場します 比喩的には「石橋を叩いて壊す」人物です

経営陣が忘れてはならないのは 余剰資金がある場合には 「投資をしないこと 新規事業をしないこと」もひとつの経営判断であり それで終わってしまったら 経営として失格 だということです

つまり 他の適切なIRR以上の投資を「しなければならない」ということです つまり 

「何もしないのが一番安全」という思想になりがちですが それこそが最も企業の内包するリスクだということです




成功体験を忘れろ! というのはimodeで常に ボストンコンサルティングの水越日本代表がおっしゃっていたことですが 成功体験のある人物が出世しているケースが圧倒的に多いわけですからそれこそがリスクになってしまうのが 企業20年寿命説のひとつの根拠かもしれません




そう考えると先ほどのGOOGLEの強さは実は上記のような リスクを積極的に取ることができる本業の高収益体制があるからこそなのでしょう




新規事業を行う最大の条件は 現状のビジネスからのフリーキャッシュフローをキチンと出すこと

あるいは本業以外の事業を売却することによってそのようなキャッシュを産み出すことが実はカギなのかもしれません